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地方文学賞で佳作を受賞して、本になったはなし~「第3回 西の正倉院みさと文学賞」応募顛末記~

物書きばなし
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公募文学賞への挑戦

当「すずしろブログ」は、元々小説執筆に関わる情報発信を主眼に開設しました。

私自身も公募文学賞やWEB文学賞への応募を続けており、その記録や技術向上も大きな目的でした。
これまで挑戦してきた文学賞での、主な選考通過歴(落選歴)は以下の記事にまとめています。

この度、「第3回 西の正倉院みさと文学賞」において『星読みの国』(帯刀古禄:たてわきころく名義)という作品が佳作を頂き、他の受賞作とともに作品集として出版されることになりました。

自身初の受賞であり、その記録と賞の概要を記事にしてみたいと思います。

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「西の正倉院みさと文学賞」とは?

宮崎県東臼杵郡美郷町が主催する「西の正倉院みさと文学賞」。

美郷町には古代、戦乱を逃れた百済王がこの地に流れ着いたという伝説があります。
王を祀る神社には正倉院御物と同じ銅鏡などが大量に伝世し、その縁から原寸で正倉院を復元。
「西の正倉院」として、内部を見ることができる博物館となっています。

これらをもとに、企業版ふるさと納税の制度を活用した街おこしの一環として文学賞が創設されたそうです。

賞の詳細は以下のリンクをご覧ください。

西の正倉院 みさと文学賞
みさと文学賞公式サイトです。西の正倉院に象徴される百済王伝説を背景とした、美郷町の<物語資源>を意識したテーマの文学賞を開催します。
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構想中の小説と、得意分野・募集要項が合致していた

「みさと文学賞」は2020年度開催分で第3回という、生まれて間もない賞です。
その存在を知ったのは、審査員長を務める「中村航」先生の「ステキブンゲイ」掲載のバナーにおいてです。

「百済王伝説」や「正倉院」等々、古代史に思い入れのあった私には琴線に触れるキーワードが並んでいました。
私が初めて書き上げた長編小説は奈良時代の「隼人」をテーマとしたものであり、「正倉院」から想起される物語にもある程度の間口があったと考えています。


また、ちょうど構想中だった小説と、みさと文学賞の趣旨とがよく合っているように感じられたため、この賞への応募へと目標を定めました。

「百済」がもたらした「暦」をテーマに

※以下、2021年3月21日のリモート贈賞式での発表内容に限定

私が小説のテーマとして選んだのは、「暦づくり」に関することでした。
古代の日本に百済がさまざまな文物や先端技術をもたらしたことは有名ですが、カレンダーのつくり方もそのひとつです。

物語は、亡びた百済の暦づくりを代々受け継ぐ郷を舞台とし、それに関わる少年少女を主人公としたものです。

過去2回のみさと文学賞入賞作は、作品集として出版されていたたため、テーマの重複がないかあらかじめ調べてからの執筆としました。

ただし、それぞれの作品をじっくり読み込んで賞の傾向対策を行うということはしませんでした。
それというのも、自身の性格からそういうことをすると意識しすぎて、のびのびと書くことができなくなると予想されたためです。

全体にさっと目を走らせていき、暦づくりに関するキーワードが出ているかどうかを確認するに留めました。
結果としては暦に少し言及した作品はあったものの、そのものをテーマとしたものはありませんでした。

この作業によって、初めて自分の中で賞への応募と執筆が決定しました。

1万2,000文字の苦しみ

募集要項では、「1万2,000文字以内」の短編小説が対象となっています。
個人的には、文章は短ければ短いほど難しくなると思っており、当初はどのように物語のボリュームを削っていくかという闘いになると予想していました。

しかし、実際に書き始めてみると案に相違して想定外の「長さ」に苦戦しました。

私は小説を書くとき、物語が一本の映画のようにイメージできるまで手を付けられず、それが必ずしも構想と一致してくれないことがしばしばです。

『星読みの国』では、短編でありながら登場人物たちとともに長い長い時を過ごしたような、不思議な感覚を味わいました。

賞の締め切りは当初2020年10月31日でしたが、コロナ禍の影響を考慮して11月30日まで延長。

賞そのものの存在を知ったのが9月末で、リサーチ・構想を経て執筆作業に取り掛かったのが11月初めでした。    
私がこれまでに投稿サイト上などで完結させた作品の最高文字数は、約20万文字です。
それに比べると1万2,000文字という制限は造作もないように思われたのですが、初めて「生みの苦しみ」を味わいました。

「暦」というテーマを使って長い時間軸を下敷きにしたことと、子どもたちの成長を合わせて描こうとしたことから、どっぷりとその歴史に心を添わせたための「長さ」だったのかなと思っています。

最終発表は当日のリモート贈賞式にて

第2回の発表時期からのことでしたが、折からのコロナ禍の影響によりスケジュールに度々変更が生じました。
運営・審査の皆様には大変なご苦労のなか、この賞を開催していただきました。

応募締め切りの延長以外にも、その後の状況から1次審査・2次審査の発表も都度延期となりました。
また、最終審査の結果は事前に通知されず、贈賞式当日での発表ということになりました。

本来であれば事前に受賞者が発表され、大賞・優秀賞に選ばれた方は美郷町での式典に招待されるという手筈でしたが、第2回よりZOOMを利用した「リモート贈賞式」が行われています。

今回(第3回)も同様で、その式典には最終選考に進んだ13名のファイナリストが招待され、その場での結果発表を待つという趣向がこらされました。

本当にその瞬間まで結果がわからず、緊張しながらリモートで参加したのはとても珍しい経験となりました。
また、間接的にではありますが他のファイナリストの方や前回受賞者の方のお顔を見ることができ、私個人としては不思議な「仲間意識」を感じられたのも素晴らしい収穫でした。

なお、これまでみさと文学賞に応募した人に向けて、「友の会」が発足するお知らせもありました。
文学賞への応募者どうしが、主催者主導で横のつながりを持てる機会はこれまであまりなかったのではないでしょうか。

画期的な取り組みで、いよいよ賞が盛り上がっていくのではと感じています。

賞状・副賞・賞金・出版

受賞者への特典も気になることと思いますので、その概要を記します。

・大 賞:1作・・・賞状・副賞・賞金(50万円)
・優秀賞(MRT宮﨑放送賞):1作・・・賞状・副賞・賞金(10万円)
・優秀賞(日本放送作家協会賞):1作・・・賞状・副賞・賞金(10万円)
・佳作:6作・・・賞状・副賞・賞金(5万円)

以上9作は一冊の作品集として出版されますが、作者に印税は入りません。
大賞の賞状は西の正倉院を建築した際の木材を使用したもので、各副賞は美郷町の特産品で構成されています。
第1回ではさらに3作が本への収録はない「奨励賞」とされましたが、第2回からは廃止されたようです。

これらの作品はメディアミックス展開の原作とされ、過去作には漫画化やラジオドラマ化をはたしたものもあります。
過去の受賞作一覧ページは以下の通りです。

西の正倉院 みさと文学賞
みさと文学賞公式サイトです。西の正倉院に象徴される百済王伝説を背景とした、美郷町の<物語資源>を意識したテーマの文学賞を開催します。

チャンスに満ちた、夢のある文学賞

当賞のような地方文学賞はあまたありますが、佳作までが書籍化されるという取り組みは唯一ではないでしょうか。

書き手にとってはそれだけチャンスに満ちた、夢のある文学賞だと思います。
第3回では応募総数が100作、海外からの応募も2作含まれていたとのことです。
年齢も10代前半~80代までと幅広く、今後もさらに盛況となることが予想されます。

何より、文学を通して地域の歴史や風土にスポットライトを当てて町おこしをするという取り組みが、非常に魅力的だと感じています。

地域文化振興の、ひとつのモデルケースとして完成したといっても過言ではないでしょう。

第4回にも、ぜひ挑戦したいと思っています。

帯刀 古禄・記

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