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刀の鞘の重要部品、「栗形(くりかた)」とは?ずり落ち防止や下緒を通す機能を解説!

武道のこと
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大事な部品。でもあんまり描かれない

刀って、日本の精神文化においても重要な位置づけのものだと思います。
様々なメディア作品でも、主要な武器として刀剣がテーマとなることが多く、それだけアイデンティティを込めやすい器物でもあるのでしょう。
しかし、漫画等で刀身や鍔はきちんと描かれているのに、とっても大事な部品があまり描かれていないように思うのです。
その名は「栗形(くりかた)」。
たしかにちょっと目立ちにくくて、鞘の色に紛れて分からなくなってしまうのかもしれません。
ですが刀を構成する大切なパーツのひとつですので、ぜひもっと知ってほしいのです。

同時に、もしもイラストや漫画を描かれる人が刀の資料がほしいと思ったとき、資料としてお役に立てれば幸いです。

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鞘の抜け落ちを防止

栗形は鞘外側、鍔寄りに付けられた突起状の部品です。
文字通り、栗に似ているという意味とも、穴が開いていることから「刳り」の意味ともされています。
栗形の役割のひとつには、鞘が帯から簡単に抜けてしまわないよう、ストッパーとしての面があります。
動いている間に鞘はどんどんずり下がっていくため、もし栗形がなければそのうち下へすっぽ抜けてしまうでしょう。
例外として「薩摩拵え」などのように、あえて小さく丸く作って鞘ごと即座に抜くことを前提とした栗形もあります。

真ん中のチョボが「栗形」です
こういう形と位置とサイズ感です
帯刀したところ。最初は適正位置ですが・・・
動いている間に鞘が下がってきます。
そこで栗形がストッパーとなります。

無理に上から見るとこんな状態です
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「下げ緒」を通す部品

栗形にはストッパーだけではなく、「下げ緒」を通す環としての機能が持たされています。
下げ緒とは一般的に平打ちの組み紐で、様々な用途をもった便利なアイテムです。

1.袴の紐に結束して、鞘の脱落・紛失を防止する
2.戦闘時に、襷として用いる
3.捕らえた敵を縛っておく、「捕り縄」として用いる
4.止血に用いる
5.長距離移動で刀を背に負うのに用いる

これらは一例で、流儀や作法によって異なる伝承があり、他にも様々な用途があるそうです。
史実がどうであったかは不明な部分も多いそうですが、現代の居合道では必ず下げ緒を装着することになっています。

下げ緒。七尺~八尺ほどが一般的だそうです
(もちろん流派・体格によります)
こんな風に下げ緒を栗形に通します
下げ緒の結び方の一例。
袴の前、右腰のあたりで結束
こんな方法も。
鞘にかけて、左腰で結束
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地味だけど、えらい部品

いかがだったでしょうか。
縁の下の力持ち、といった風情の地味な部品ですが、栗形はとってもえらいのです。
イラストレーターさんや漫画家さんは、ぜひともこれを描写してほしいなあ、といつも思います。
もちろん物書きさんも、時代小説などでぜひ触れてあげてほしい部分です。

三條 すずしろ・記

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