WEBライターという選択肢
「リモートワーク」や「テレワーク」という言葉が登場し、副業を容認する企業も徐々に増えてきたことでオフィスに出勤しない働き方もメジャーとなりつつあります。
「複業」と表現されることもあるように、収入源を複数持つというワークスタイルも注目を集めています。
職種はさまざまですが、中でも「ライター」は場所・時間について自由度が高く、特段の投資も必要ないことから人気の仕事となっています。
わたしがWEBライターを始めたのはリーマンショックでの大幅な収入減が直接の動機でしたが、近年ではライティングを取り巻く状況も随分と良い方向に変化してきたように感じています。
そこでこれからWEBライターに挑戦したいという、特に実務経験がまだない方向けに、わたしが辿ってきたキャリアを記したいと思います。
もちろんこうすれば必ずこうなる、という性質のものではありませんが、経験値積み上げ式のモデルケースのひとつとして参考にしていただければ幸甚です。
実務経験ゼロからWEBライターになるまで
学生時代に、所属研究室発行の書籍の一部を執筆させてもらったことがありましたが、経歴としては「未経験」としてしか扱われませんでした。
したがって、「実務経験ゼロ」からのスタートです。
経験の道順は、ざっくりと以下のとおりです。
- nanapiにて初のライティング(料理・旅行系統記事メイン)
- Lancers・CrowdWorksにてタスク案件・プロジェクト案件を実施(ジャンル不問)
- 上記クラウドソーシングサイトにて、得意分野(歴史系記事)のスカウトに対応
- 歴史系WEBメディアのレギュラーライターとして署名記事投稿
- WEBメディア発行の紙書籍に、共著者として記事が採用
- 上記経歴からスカウト案件を中心に執筆
初めはジャンルと金額にこだわらず、とにかく「実務経歴」を積み上げることに専念しました。
以降は書きたいジャンルや得意な分野をポートフォリオでアピール、徐々に専門のWEBメディアからスカウトが来るようになり、特定分野のライターを名乗るようになりました。
クラウドソーシングを中心とした、経験値積み上げ式の地道な方法です。
それぞれのサイトについて、もう少し詳しく経緯やシステムをご紹介しましょう。
入門に最適、クラウドソーシングのメリット
各メディアではほぼ常時ライターを募集していることが多く、そこに直接応募するという方法もあります。
しかし、未経験OKでも採用試験や何か特別な経験や特技がないと厳しい場合があり、実務経験ゼロからではややハードルが高いかもしれません。
そこで有効なのがクラウドソーシングサイトの利用です。
これは仕事の受発注と報酬の授受を仲介してくれるサービスで、ライターとして登録すると専用のページが与えられ、募集している案件に応募できたりプロフィールを見て興味を示したクライアントからスカウトをもらえたりといったシステムが完備されています。
報酬からはサイトへのエージェント料がいくばくか引かれますが、事務手続きの代行や報酬未払いなどのトラブル回避、そして何よりも実務経験を積めることから非常に優れた仕組みだと感じています。
一部には「まったく稼げない」「よい案件がない」「仲介手数料が高い」という声もあるようですが、手数料以外は自分次第というのが正直なところでしょう。
とにかく安心して業務にかかれるため、ライターとしての入門用にはうってつけだと思います。
以下、わたしがお世話になった(なっている)サイトをご紹介します。
nanapi
最初にライター登録して、最初に報酬を得たのがnanapiでした。
残念ながら2019年6月30日をもって更新停止となりましたが、かつては大量のライティング案件を募集していたので、このサイトでライターデビューを果たした方も多いのではないでしょうか。
一つのお題に何件かの記事募集がかかり、応募して執筆にかかるシステムでした。
報酬はポイント換金制で、わたしが始めた頃は一記事300pt(300円程度)の案件が多かったように思います。
記事には版権フリーの写真(自身撮影も可)かイラスト挿入が必要でしたが、編集部からの丁寧なバックがあったので実務に関わりながらライティングの基礎を学ぶことができました。
ライター募集はほどなく終了しましたが、今思い返しても編集部の方々の対応が素晴らしく、感謝の念を忘れないようにしています。
Lancers
nanapiに慣れてきた頃、二番目に登録したのがLancers(リンクは帯刀コロクのページ)です。
クラウドソーシングといえばこれ、という有名サイトの一つですが当初はちょっと気後れしながらの登録でした。
本格的なビジネスとしてのライティングであり、趣味ではなく仕事としてのプロ意識に開眼したきっかけにもなりました。
いくつもの募集案件はコンペ形式で作業者が決まるものもあり、応募の時点ですでにプレゼンが始まっていることを教えてくれたのもこのサイトです。
こちらでも当初はジャンル不問でお仕事をしていましたが、ポートフォリオを充実させていく過程で大きな転換点を迎えました。
それは得意分野として執筆を希望していた、歴史ジャンルの記事作成へのスカウトです。
当時オープンしたばかりの「武将ジャパン(リンクは帯刀コロクのページ)」さんからのスカウトで、後に“歴史ライター”を名乗る第一歩のお仕事をさせていただきました。
いくつかの記事は同サイト発行の紙書籍にも採用され、共著の商業出版デビューにもなった思い出深いお仕事でした。
CrowdWorks
Lancersと並ぶクラウドソーシングサイトの双璧として、Crowdworks(リンクは帯刀コロクのページ)が挙げられます。
その存在はよく存じ上げていたのですが、実際に登録したのはLancersで稼働し始めてから2年後のことでした。
しかしポートフォリオにはこれまでの活動実績を掲載できたこともあり、登録直後には電子書籍専門出版社であった「まんがびと」さんからスカウトを頂き、別名義で数冊の作品を出版していただきました。
また、ここでは歴史系WEBメディアからのお誘いも多くあり、「戦国ヒストリー(リンクは帯刀コロクのページ)」さんでは大好きな刀剣や家紋についての記事を継続執筆させていただいています。
最初の記事は1文字0.3円
WEBライターの1文字あたり単価は案件によって様々ですが、概ね1文字1円を超えれば高単価とされています。
実績を積んで専門性の高い記事を書くようになれば単価アップも可能ですが、1文字1円以下の案件のほうがはるかに多いのが現実です。
わたしも初めて書いた記事は1文字あたり0.3円で、ほかにはそれ以下の報酬で書いたものもたくさんありました。
最初から高いに越したことはありませんが、相場としては1文字が銭の単位であることが平均的だと考えたほうがいいかもしれません。
実績が認められれば、高単価案件にも採用されやすくなるため、まずは自身の能力を証明する何よりの履歴書となる「実務経験」が優先だと、わたしは考えました。
実績+得意分野アピールで、徐々にスカウトが
クラウドソーシングサイトには、自己のプロフィールを表示するページが設けられています。
案件をこなすたびに実績として自動的に記載されていきますが、これに加えて自分の得意分野をしっかりとアピールすることが大切です。
もし得意と呼べるのものがなければ、書いてみたいことや好きな分野を詳しく述べてもよいでしょう。
というのも、クライアントはライターのプロフィールページを見て需要に合うかどうかを判断しているため、ここが充実しているほどスカウトを受けやすくなるためです。
実績もないのに……と、わたしも最初は少し恥ずかしい気持ちもあったのですが、遠慮なく書いたおかげで歴史系記事へのスカウトが届くようになりました。
“ニッチな専門”こそ大きな武器
ライターとしての人気ジャンルというのが確かにあって、たとえば「金融」「ダイエット」「恋愛」などは単価も高く記事数も多い傾向があります。
そういったいわば激戦区に身を投じるのもいいですが、むしろ「ニッチな専門」が強力な武器になることがライティングの面白い点でもあります。
たとえばわたしは「居合道」という日本刀を使う武道を年少の頃からしているのですが、近年の刀剣ブームの追い風もあり「刀に関する記事」のオファーが激増しました。
WEBメディアでは常に何か面白いことへのアンテナが張られているので、ニッチな趣味や珍しい体験などがライターとしての糧になります。
それらをすっきりとまとめてプロフィールとして可視化し、誰かの目にとまる機会を少しでも増やすことが肝要です。
クライアントは真剣にライターを探している
わたしたちが一生懸命お仕事の案件を探すように、実はクライアントも真剣にライターを探しています。
法人にしろ個人にしろ、自身のWEBメディアの看板となる記事を書いてもらうわけですから、可能な限りニーズを満たすライターと巡り合うのは、とっても重要なことだからです。
また、ほぼ顔が見えない状態でのやりとりとなるため、どうやって信頼関係を築くかという点も本当に大切です。
「礼儀正しく、レスポンス速く」が基本ですが、副業の場合は連絡可能な時間帯をあらかじめ共有しておくことも大切ですね。
WEBライターの仕事も、他のあらゆるお仕事と同様にやはり「縁」が重要です。
縁を大事にしてコツコツと実績を積めば、なりたいものにどんどん近づけるのがライターの素晴らしい魅力だと感じています。
今回の記事はひとつのケースでしかありませんが、何かの参考になればこれほど嬉しいことはありません。
帯刀 コロク・記
コメント