自分の小説作品について、選考通過歴・サイト特集歴をまとめてみた(2019.8月現在)

物書きばなし

文学賞の選考通過レベルについての情報は、意外と少ない

小説を書いている人なら、一度は公募文学賞への応募を検討したことがあるのではないでしょうか?

あるいは実際に挑戦し続けている人や、小説投稿サイトや電子書籍出版を舞台に活動している作家さんも多いかと思います。

それでも今や、投稿サイトや電子出版会社が主催する文学賞が百花繚乱で、アップした作品をタグ付けひとつで賞に応募できるなど、挑戦のハードルも多様化しています。

そこで気になるのが、それぞれの賞ではどのような作品が上位に進んでいるのか、という問題です。
大賞や付随賞、特別賞などを受けた作品はもちろん目につくのですが、最終選考やその一歩手前までいったものはどんな内容でどれ位のレベルなのか、そういった情報は作品紹介欄などで明記されない限り なかなか知る機会がありません。

もちろん、他の作品のことは気にせず、自身の執筆に集中する! というスタンスも尊いと思います。
しかし、自身の作品を客観的にみつめて、ある賞においてどれくらいの評価を得たのか知ることも、有意義な勉強になるのではないかと思いました。

そこで、わずかではありますが私、三條すずしろの文学賞選考通過歴と、小説投稿サイトの特集歴を記して、ささやかな資料に供したいと願います。

『吠声(はいせい)―隼人彷徨―』

第15回 歴史浪漫文学賞「3次選考通過」

これは私が初めて書き上げた作品で、奈良時代に大和朝廷へと朝貢していた南九州の「隼人(はやと)」を主人公とした歴史小説です。

かなりマニアックな題材で、なおかつ初めての作品ということもありかなり不安な思いでしたが、勇気を出して郁朋社主催の「歴史浪漫文学賞」に応募しました。

この賞には「創作部門」と「研究部門」とがあり、規模は大きくないものの貴重な歴史系文学賞の雄として知られています。

選考は3次の次が最終で、大賞をあまり出さない厳しさでも有名です。

『吠声』は第15回で3次選考通過、全90作品弱のうち上位16作品が該当とのことでした。
この章では、3次以降の選考通過者には自費出版の案内が送られてくることから、商業出版レベル手前のクオリティをはかる、目安になる可能性があるともいいます。

なお、この『吠声』という作品は後々、まったく偶然の経緯から大阪の電子書籍出版社「C’S Factory」さんから電子版として出版していただく運びとなりました。

賞にははるか及びませんでしたが、私にとって小説を書き続ける契機をくれた、思い出深い作品です。

歴史浪漫文学賞(郁朋社主催)

吠 声(はいせい)―隼人彷徨―

カクヨム特集「愛を讃える (?)4選」

上記の『吠声』は、「帯刀古禄(たてわきころく)」のペンネームで電子出版しましたが、後に出版社の許可を得て「三條すずしろ」名義でカクヨムに公開しました。

ところがPV数はまったく伸びず、やはりマニアックすぎる歴史ものは受け入れられないかなあ、としょんぼりしていたとき、カクヨム公式の特集 「愛を讃える(?) 4選」としてピックアップして頂くことができました。
レビューを書いてくださったのは「髙橋 剛」さんです。

その後一週間ほどでPV数が急増し、フォローしてくださる方も増えたのですが、特集特需は私の場合、一過性のものだったようです。
それでも、新たにたくさんの方々が手に取ってくださり、温かいコメントを頂きました。

これは文学賞に応募するだけではなかなか実現しないことであり、やはり「読んでいただいてこそ」ということが骨身に沁みた出来事でした。

カクヨム 特集 「愛を讃える(?)4選」

『龍馬アンローデッド―伊呂波丸事件異聞―』

第20回 日本自費出版文化賞「落選」

自身の2作目も歴史小説で、『吠声』と同じく帯刀古禄名義で電子書籍化→三條すずしろ名義でカクヨム公開、という流れでした。

海援隊初の蒸気船が紀州藩の大型蒸気船と衝突・沈没し、土佐藩が多額の賠償金を獲得した「伊呂波丸事件」を題材にした物語です。
ただし、紀州藩のクルーを主人公とし、龍馬を「敵」とした紀州サイドからのお話として仕立てました。
紀州藩の英文による詳細な航海日誌が残されており、史実は映画やドラマでみるような紀州悪しのイメージとは、ずいぶん異なることをえがきたかったのです。

この『龍馬アンローデッド』と『吠声』は、お世話になった方に差し上げたくて超少ロットの自費出版を行った作品でもありました。
編集・データ作成・カバーデザインまでを自力で行い、印刷を「大友出版印刷」さんにお願いしたものです。
(※注:大友出版印刷さんは2019年7月をもって事業を終了されました)

そこで応募したのが、「日本自費出版文化賞」です。
文字通り、自費出版書籍に対して贈られる賞で、

  • 地域文化部門
  • 個人誌部門
  • 小説部門
  • エッセー部門
  • 詩歌部門
  • 研究・評論部門
  • グラフィック部門

の7つのジャンルに分かれています。
応募には著書の現品1冊と、登録料2,000円がかかりますが、「自費出版本」というカテゴリーでの貴重な賞となっています。

NPO法人 日本自費出版ネットワーク

 

龍馬アンローデッド: ―伊呂波丸事件異聞―


『柚子とさば骨』

さばえ近松文学賞2015~恋話(KOIBANA)~ 「落選」

近松門左衛門の出身地でもある福井県鯖江市が募集する、400字詰め原稿用紙10枚以内という超短編の文学賞、「さばえ近松文学賞」

恋にまつわるお話で、最低ひとつは鯖江に関するものを入れるという条件以外は、テーマ不問となっています。

私が2番目に応募した文学賞で、後輩の男の子のために手づくりの食事を調え、全身全霊をかけて鯖を焼く、というお話です。

とても短く、賞にも落選しましたが、後に書いた料理小説『伊緒さんのお嫁ご飯』のプロトタイプとなった作品です。

さばえ近松文学賞

『柚子とさば骨』(カクヨム版)

『伊緒さんのお嫁ご飯』

第1回 ライト文芸大賞「大賞候補」

初めて小説投稿サイト「アルファポリス」に投稿した作品で、初めての連作短編・スマホ執筆等々、初めて尽くしのものでした。

「三條すずしろ」のペンネームもこの作品から使い始め、いわばすずしろとしてのデビュー作と考えています。

お嫁さんがつくってくれるおいしいご飯を楽しみに、いそいそと家に帰るというシンプルな主題ですが、連作短編でありつつ全72話を通してひとつの物語になるようにつくりました。

歴史小説から「ライト文芸」に挑戦したのには、自分が「書きたいもの」と「読みたいもの」のバランスを模索してのことでした。

通勤電車や休み時間など、スマホでコツコツ書いた思い出の作品で、実に楽しく執筆できたことをよく覚えています。

それだけに、第1回ライト文芸大賞で508作品中、7作の「大賞候補作」として選んでいただいたときは、冗談ではなく足が震えました。

また、サイト上のみならずSNSでも多くの方にお祝いや温かいコメントをいただき、読者の方に加えて書き手同士の輪が飛躍的に広がったのも嬉しいことでした。

受賞はできなかったものの、方向性が間違っていないという大きな自信を与えてくれた出来事でした。

 

エブリスタ「新作セレクション(2017.1月25日号)」

多くの小説投稿サイトでは、一定の規約を満たすことで複数のサイトに重複投稿することが認められています。

『伊緒さんのお嫁ご飯』を2番目に公開したのが「エブリスタ」で、そこでは新規投稿作品をピックアップする「新作セレクション」というコーナーがあります。

この新作セレクションで紹介していただき、それによって爆発的なPV数の伸びが起こり、びっくりした思い出があります。

『伊緒さんのお嫁ご飯』は合計4つのサイトで公開していますが、群を抜いてPV数が多いのはこのエブリスタでした。
サイトリニューアルに伴い、データが失われてしまったのが残念ですが、毎日のようにスターを送ってくださる方、一話ごとにメッセージをくださる方等々、とにかく読者さんとの距離が近く感じていました。

作品を書き続けるうえで、孤独感にさいなまれることもなく過ごせているのも、そんな温かい応援のおかげです。

伊緒さんのお嫁ご飯 (胡・堂出版)

『伊緒さんのお嫁ご飯~番外・手作らず編~』

第1回 ほっこり・じんわり大賞「落選」

『伊緒さんのお嫁ご飯』が完結し、読者の方から番外編のリクエストを頂いたのが嬉しくて書き始めたのが「手作らず編」です。

手料理ではなく、一緒に外食したり旅先で食べたり、誰かが作ってくれたものを頂いたりするお話です。
全20話での連作短編ですが、料理をするうえでの考えや人間生活としての「食べること」への思いなど、本編で書ききれなかったメッセージを込めました。

実は本編の『伊緒さんのお嫁ご飯』が大賞候補に選ばれたことから、もしかすると今回は……、とヨコシマな期待に満ち溢れての投稿でした。

が、見事に落選。
賞の趣旨を、十分に満たすタイプの作品ではないと判断されたものと自己分析しています。

他のサイトでも本編に比べるとPV数は芳しくなく、読者の方が「読みたい」ものとは合致していなかったのかな、と思っています。

ただ、書いた本人が何回読んでも泣けるエピソードがあるのはこの番外編だけで、とてもお気に入りの作品になっています。

ほっこり・じんわり大賞(第2回)

『伊緒さんのお嫁ご飯~番外・手作らず編~』(アルファポリス版)

文学賞応募は、スポーツの「試合」のようなもの?

賞をいただければ嬉しいと思いますが、何より大事なのはたくさんの方に読んでもらい、ほんのわずかでもその人の心に響くこと。
物書きの一人として、それが一番の望みです。

文学賞への応募は、いわば「試合」ともいえるもので、自分を鍛えて筆力を上げ、多くのライバルと切磋琢磨する仲間になれ、たくさんの読者の方に出会えるという素敵なイベントだと思っています。

「賞をとる」ことは「目標」であって「目的」ではなく、挑戦するという貴重な成長の機会になると感じています。

これからいずれかの文学賞に応募しようと考えている方に、上記の作品を見て、

「これなら自分の方がうまい!」

と、自信をつけて頂ければ幸いです(笑)

三條すずしろ・記

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