永遠の課題、誤字・脱字
どんな文章でもそうですが、必ず「校正・校閲」という工程を経ます。
「校正」は文章が原稿の指示通りになっているか、あるいは修正されているか。
「校閲」は内容に誤りや齟齬がないか。
ざっくりとそういったチェック作業を指す場合が多いようですね。
ところが、やはり人間の目と手ですることですのでどうしても誤字や脱字を100%防ぐことは困難です。
商業出版されて何重もの厳密な検査を通したはずの書籍でも、それは同じこと。
わたしたちのように、基本的に自分ひとりですべての作業を行うWEB作家にはなおのこと重大な問題でもあります。
特に自分で入力したテキストというものは、チェックしたつもりでも何故かミスを見落としやすくなる傾向があります。
そこで自作の文章に校正・校閲をかける際、より精度をアップさせられるコツをご紹介したいと思います!
大事なのは「素読み」!
その前に本コラムでのチェック項目を原稿指示、いわゆる「朱書き」が入っていないまっさらな文面であると仮定しましょう。
つまり何のヒントもない状態から文章を読んで、誤字・脱字や内容のエラーを探し出すというシチュエーションです。
これは「素読み」、あるいは「常識校閲」などと呼ばれる作業で、目視によるもっとも基本的なチェック方法となります。
文字の間違いや用法の誤りがないか、読んでみて内容におかしなところがないか等々、読者目線であらゆる問題点を洗い出します。
タイピングによる文字入力が一般的となった現代では、手書き時代よりはるかに多くの誤字・衍字が発生していると考えられます。
また、自分自身で文章を書き進めている間は勢いに乗って気付かなかった細かい点なども、冷静に客観視する機会となります。
それでは、以下に今すぐできる3つのポイントを 挙げていきましょう!
1.書いた直後ではなく、しばらく時間をおいてからチェックする
これは時間的に余裕がある場合に、とても有効な方法です。
あまりにも単純で拍子抜けしそうですが、時間をおいてから自分の作成した文章をチェックすると、驚くほど多角的に誤謬を発見できる効果を感じられます。
それというのも、自身で入力した文章というのは無意識にブロック単位で記憶していることがあり、もし誤字や脱字があっても眼と脳が勝手に補正して「読み飛ばし」てしまう恐れがあるためです。
また、例えば小説などを書いた直後はテンションも上がり、ある種の興奮状態という場合もあるので、自身の文章を俯瞰的に観察するのが難しくなる傾向があります。
したがって、ある程度時間をおいて、クールダウンした頭と目で客観視すると精度がアップするというものです。
わたしは少なくとも一晩は時間をおいて素読み校正をするよう心がけていますが、
「すげえいい文章書けた!」
と思っていても後で見たら
「なんだこれ」
ということもしばしばです(笑)
2.紙に出力して、ペンで一文字ずつチェック
とっても地味で時間のかかる方法です。
しかし、印刷・出版業界では今でもこうした方法をとっている所も多いといいます。
基本的にPC上でほぼすべての作業が完了しますが、可能であれば紙に出力して「現物」として素読みをかけるのが望ましいでしょう。
読みながら一文字ずつペンで点を打ったり、気付いたことを書き込んだりできるのも大きなメリットですね。
出力紙はデータではなくモノであることから、目で見る・ペンで書く・原稿に触れる等々、五感を最大限利用することで集中力が高まる効果もあります。
ですが、テキストが大量になるとそのすべてを出力するのは難しいという現実も。
そんなときは、デスクトップ上に校正用のデータとして別名保存し、チェックを完了した分から消去していくなどの方法もあります。
あるいは履歴を残したいのであれば、消去の代わりに文字色を変更するなどの処理でもよいでしょう。
校閲ツールでコメントを書き込むこともできるので、朱書きのような要領での利用も可能です。
3.行を逆から読んでいく
シンプルな方法ですが、特に誤字・脱字の発見には効果を発揮します。
先述の通り、人間の眼は文章に少々の不備があっても自動的に補正してしまいます。
ましてや自分で書いたものであれば、記憶を頼りに感覚的に読み飛ばしてしまうことも多々あります。
そこで純粋にその一文に集中するため、行を終わりから始まりに向けて逆に読んでいくというテクニックを使ってみましょう。
内容そのものの整合性ではなく、文字の用法チェックに特化したスタイルですが、視点を変えて思わぬ発見があることを実感できる方法です。
最後に……それでもやっぱり誤字・脱字は起こりうる!
念には念を入れて幾重にも厳重なチェックをかけても、それでもミスの可能性は0%にはなりません。
限りなくゼロに近づけるためのチェック作業であり、誤字や脱字は必ず発生するものと考えた方がよいでしょう。
自分で作成した文章を自分で校正するためには、できるだけ違った視点をもてるような工夫が必要です。
WEB上のものであれば修正は比較的容易かもしれませんが、一度紙に印刷されたものは直しがききません。
そういった心づもりで作業にあたると、自然とタイピングの時から気を付けるようにもなると思います。
せっかく精魂込めて書いた作品ですので、手に取ってくれた人も気持ちよく読み進められるよう、誤字・脱字のない文面を目指したいものですね。
えらそうに言いながら、わたしも誤字・脱字と格闘する日々です。
このコラムを書きながら、もう一度過去の記事を見返してみようと思う次第です。
三條 すずしろ・記
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