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文学賞に入賞して変わった5つのことと、変わらなかった3つのこと

物書きばなし
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文学賞に入賞する=何かが劇的に変わる?

小説作品発表の場が多様化し、執筆と公開の方法に多くの選択肢がある昨今。
物語を紡ぐ情熱と、物語を求める気持ちはいよいよもって高まりを見せているように感じられます。

そんな創作の上では、しばしば「文学賞」への応募が目標に設定されることがあるでしょう。
筆者もこれまでいくつかの文学賞に挑戦しており、その取り組みは現在進行形で続けています。

数多くある賞の規模や位置付けもまた様々ですが、例えば何かの賞で入賞するとどういった影響があるのでしょうか。
筆者は一作のみ入賞経験があり、宮崎県の美郷町が主催する「第3回 西の正倉院みさと文学賞」で佳作を頂戴しました。
この賞での入賞作は作品集として出版されるため、共著での小説書籍化デビューといえる出来事でした。

正直なところ、末席とはいえ賞を頂いたことによって何か創作関連で大きな変化があるのではと期待する気持ちがあったのですが、変わったこともあれば全然変わらなかったこともあるというのが現実です。

管見、としか呼べない個人的な経験ではありますが、このことについてまとめてみたいと思います。

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変わったこと5つ

入賞以降、明らかに変わったと感じることが以下の5つです。
いずれも前向きな要素であり、創作の励みに繋がる好影響となっています。

1.SNSのフォロワーさんが増えた

SNSはTwitterを中心に使っていますが、ここで入賞を告知してから一気にフォローしてくださる方が増えました。
温かなお祝いのコメントや、実際に読んでくださった感想なども頂戴して涙が出るほどうれしかったです。

web上ですがオープンな場であり直接メッセージのやり取りもできるため、創作活動の発信という点においても重要な出来事でした。

2.もの書きさん同士の横のつながりが広がった

賞を頂いたことで、同じく創作を志す方々とのつながりも増えました。
特に同じ回やそれ以前の回のみさと文学賞入賞作家の皆さんや、関心をもって見守ってくださっていた方とも新たにご縁を頂いています。

それまでは創作の仲間というのはさほど多くなかったといいますか、積極的に輪を広げようとしていなかったのです。
中には以前から作品を存じていた作家さんもおられ、本当にうれしい影響の一つでした。

3.過去作品を読んでもらえるようになった

入賞をきっかけに、過去に発表した作品を読んでくださる方が増えました。
いくつかの小説投稿サイトに公開していますが、古いものに遡ってPVが増えていったためおそらく賞の影響が強かったものと考えます。

4.電子書籍の売上がアップした

自作のいくつかは電子書籍化していますが、ほとんど読んでもらえていない作品もありました。
しかしこれも賞を機に売上が伸び、感想を頂くことも。
作者プロフィールに受賞歴を書けるようになったことよりも、受賞作を読んでくださった方々にそちらもチェックして頂いたことが大きかったようです。

5.作品への高圧的コメントが少なくなった

頻繁にではありませんでしたが、主に投稿サイト発表作品にやや高圧的なコメントが寄せられることがありました。
が、入賞以降ほとんどそれが見られなくなったと感じています。
確実に因果関係があるものかどうかは不明ですが、少なくとも「上からのアドバイス」的なコメントはほぼ無くなりました。

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変わらなかったこと3つ

一方で、変わらなかったことももちろんあります。
もっと正確には「期待した変化は訪れなかったこと」と言い換えられるかもしれません。
大きく以下の3つが挙げられます。

1.仕事のオファーはこなかった

筆者はライターが本業ですが、受賞がきっかけで何か仕事のオファーが来ないものかと期待していました。
お恥ずかしいことですが、多少は自身に箔が付いたのではないかと過信していたのです。
結果として、表向きには受賞歴を理由としての執筆依頼は舞い込んでおりません。
そもそもライティングと文芸作品とではジャンルもニーズも異なり、後者に関連する記事は第一人者がひしめいています。
自身の甘い期待でした。

2.地元で特に報道されなかった

自分にとっては大きな出来事だった文学賞入賞、多少なりとも地域の広報に貢献できないかと新聞社に情報提供を試みました。
実は取材をしてくれたのですが、結果として報道に載ることはありませんでした。
理由としては地元の賞ではないこと、末席の賞であったことなどからニュース性は高くないという判断だったと聞いています。

3.印税が入ってくるわけではなかった

これは賞にもよるのですが、みさと文学賞では入賞者に賞金は用意されていますが作品集の売上は作者の印税になりません。
よく質問されることの一つなのでこの項目で記しましたが、他の文学賞によっては書籍化で印税が支払われるケースはもちろん存在します。

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星の数ほどもある良作の海で、何を発信できるか

自分にとってみさと文学賞で佳作を頂いたことは、大げさではなく人生の重要な岐路になったと感じています。
しかし同時に、文学賞を抜きにしても世界にはそれこそ星の数ほども良作がひしめいていることを、改めて見せつけられる思いです。

執筆だけではなく自身で作品の発信も容易にできる昨今、どのように自作を世に示していけるかというのは重要な問題と感じています。
創作は基本的に孤独な作業であると思っていますが、文芸作品は読んでくださる方がいてこそのものです。
当たり前のことながら人との縁は本当に大切なもので、その点では同じ書き手の仲間に恵まれることもまた尊いものと痛感しています。

変わったことも変わらなかったこともありますが、そうした感謝の念だけは忘れてはいけないと自戒する次第です。

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