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作家さんを「先生」と呼ぶことについての考えまとめ

物書きばなし
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「先生」という敬称はふだんから使う機会が多いですよね。
学校の教員や各科の医師、あるいは会計士や弁護士などいわゆる士業の方々等々、「〇〇先生」と呼ばれる職業は意外とたくさんあるといえるでしょう。

そんな中、小説でも漫画でもイラストでも、それを専門とする人たちも「先生」と呼ばれることがあります。
なぜそのように呼ぶのかという考察は置いておいて、本記事では自分なりにどういう基準で呼び分けているかをまとめてみました。

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「敬称」としての“先生”と「称号」としての“先生”

まず「先生」という言葉には「敬称としての意味」と「称号的なニュアンス」の2パターンがあると考えています。
日本語では教員や教官など指導的な立場にある人のことをそう呼び、「○○の先生」といえばその分野の教師であることを示します。

一方、士業や代議士などをそう呼ぶ場合は必ずしも教師という立ち位置ではなく、これはある種の称号としての尊称のように感じています。

これは上記の作家や創作者に対するケースでも同じで、例えば小説家を「○○先生」と呼ぶのはまさしくそんな意味合いと解釈できるでしょう。

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作家さんを「先生」と呼ぶ自分なりの基準について

これらを踏まえて、どういった場合に作家さんに対して「先生」という尊称を用いるかまとめてみました。

商業出版がメインのプロに対して

慣例的にプロの作家に対して「先生」を用いることはよく知られています。
つまり小説家でも漫画化でもプロデビューをしているかどうかがその線引きと捉えられることがあり、商業出版経験をもって「先生」と呼ぶというものです。

ただし現役でも歴史上でも超有名作家に対しては「名前そのものがブランド」と理解して敬称を付けない場合や、単に「〇〇さん」とすることもあります。

文章でその名を描く場合は初出のみ「先生」を用いて、あとは冗長になるため省略するパターンも用いています。

文学賞受賞者作品の紹介時

商業出版ではなくとも、何らかの文学賞を受賞された方の作品紹介時に敬意を込めて作者を「先生」と呼ぶようにしています。
これも初出のみとしますが、人によっては「先生と呼ぶのはご容赦を」と仰るケースもあるためご希望に従います。

すごいと思った作品の紹介時

個人的に大好きな作品、すごいと思った作品の作者をご紹介するとき、思わず「先生」と尊称します。
これはプロかそうでないかには関係ありません。
自身も作品をつくりあげることの楽しさも苦しさも体感しているつもりですので、本当は何かを創作する方はみんな「先生」とお呼びしたいくらいの敬意を感じています。
ただし面識があったりSNSなどでふだんから交流のある方に対しては、必ずしもこの限りではありません。
文脈と文字数制限しだいで単に「〇〇さん」とすることもしばしばです。

蛇足ですが「小説家になろう」ではどの作者さんにもひっそり「先生」と付けて記載してくれる部分がありますね。

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作家としての「先生」はなんにも偉いわけじゃないと思う理由

作家が「先生」と呼ばれるのは、読者さんの「こんなにおもしろいもの生み出してくれてすごいねえ。ありがとうねえ」という気持ちが込められた結果のことと解釈しています。
ですが当然ながら小説などの創作物の価値は、受け取ってくれる人がいてこそのものです。
なので本当は先生と呼ばれても偉いわけではありません、と思っています。

自分は先生と呼んでもらうことは必ずご遠慮する旨をお伝えしますが、立場上それをお断りできない責任が生じる場合もあります。
たとえば自治体の歴史講座などで壇上にあがったときや、武道で公式の場に立ったときなどが挙げられます。特に居合では団体や道場によるかもしれませんが、五段を頂戴した時点で師匠からも「先生」と付けて呼ばれるようになりました。

これは教師的な立場として振る舞う必要があることからの敬称であるため、その折には「先生ではありません」と言うことはできません。教える責任が生じるからです。

一方で作家や創作者としては、本来的な意味では応援してくださる読者さん方のほうがよっぽど「先生」ではないかと思っています。
受け取ってくれる方々ありきというごく当たり前のことを、プロとアマチュアの境が定かでなくなってきた今こそ改めて肝に銘じたいものです。

帯刀 コロク・記

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