はい。じゃあみなさん、教科書は閉じてくださいね!
今日は和歌山県橋本市の歴史に関わることを、2つ解説してみましょう。
まず1つめは「陵山古墳」。
そう、庚申さんの使いのお猿さんと、たくさんの鬼たちが戦ったあの場所ですね。
円墳としては和歌山県下最大とされ、近畿地方でも出現期の横穴式石室をもつ、とーってもすごい遺跡です。
市の公式見解では5世紀末~6世紀はじめ頃の築造としていますけど、ここだけの話、さらに遡ると考えている研究者も多いみたいですよ。
墳丘は3段築成、直径は本体だけで45メートルとめちゃくちゃおっきい!
周濠と外堤も入れるとさらにサイズ感が膨らみますよねえ。
大昔のおおらかな調査で出土物のほとんどは散逸したようですが、金メッキが施された鎧の一部、そして多数の鉄製品が特徴的。
なかでもわたしのイチ推しは「蛇行剣」です!
文字通りうねうねと曲がった剣で、国内でまだ70数例しか発見されていないというもの。
超レアです。SSRなんです。
学会でも謎の考古遺物とされていますが、一本だけ韓国からも出土していることから、ますますもって不思議な剣ですね!
ちなみに陵山古墳の石室を崩落防止で埋め戻した際、神職の資格をお持ちの地元の高校教諭が祭式を執り行ったんですって。
その時の祝詞作文は伝説になっているとか。
お次の2つめは、「南紀重國」の刀です。
妖刀となった影打に魅入られた男が暴れて、命の危険がありましたね……。
重國は紀州徳川家初代・頼宣の時代に藩お抱えの刀工となった人物で、後に十一代を数える名匠の系譜となります。
重國はもともと大和手掻派に連なり、「大和伝」はもっとも古い刀工集団のひとつとされています。
重國の初代は特に名工として知られ、伝統的な大和の直刃、そして現在の神奈川県にあたる相模で完成された「相州伝」の乱れ刃を使い分けた作風が確認されます。
刀は普通、一振り限りではなく何本かを鍛えて、そのうち一番出来の良いものを納品したり奉納したりするそうで、これを「真打」といいます。
真打として選ばれなかった他の兄弟刀を影打といい、妖刀になってしまった重國はこの影打にあたるんですね。
そういえば六代目の由良さんが、
「“影”であることが気に食わぬと申すか」
と言っていたのはこのことだったのですね。
いまはさらに厳重に影打南紀重國を封印してあるそうなので、もう心配いりませんよ!
とは言いつつ、なるほどそうですか、とはなかなか言いにくいですよねえ。
あっ!もうこんな時間ですか。
それでは今日の授業はここまで。
次は隅田一族のお話ができればと思いまーす!
次のお話↓
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